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[底]真昼の不思議な物体

 青山にあるイメージフォーラムで、タイ人の映画監督アピチャッポン・ウィーラセタグン(อภิชาติพงศ์ วีระเศรษฐกุล)の作品の特集を1月いっぱいやっていて、そのうち彼の初監督作であるという『真昼の不思議な物体』を観てきました。

 モノクロ、ないしそれに近い低画質の(古い映像であると印象付けるためでしょうか)映像で作られたコラージュ、というのが観終わっての印象です。
 と同時に、普通の映画のようにシナリオをきっちり作り込んで台本どおり演じてもらうのではなく、一般人を参加させるバラエティーのように、シチュエーションを整えてカメラを回し、素人が自分なりに動いた結果得られたものを編集して、合間に役者の演じるパートを挟み込んで作品とした、という風に見えました。実態はともかく、そのような映像になることを狙っていたと思います。

 サバの移動販売(トラックに乗った魚屋さん)のお姉さんが語るなかなかにキツい身の上話の次に、「何でもいいからもっと話して」と言われて話し始めた物語がこの話の骨格になります。
 魚屋のお姉さんが語った話をファンキーなおばあちゃんが引き継ぎ、「真昼の不思議な物体」が「星から来た少年」になります。そしてタクローに興じていた象使いの青年が間をつないで、劇団のおそらくはシナリオ担当のお姉さんにバトンが渡されます。彼女が書いて劇団員が演じたストーリーに、小学生の男の子が話に一応のオチをつけて、新たに魔法の虎の話を始めたところで物語りは終わります。

 語る人々の佇まいの素人感もさることながら、語るストーリーにかなり落差があるのが、完全に台本を作り込んでいないんじゃないかという印象を得た理由の1つです。象使いの青年はあまり破綻したストーリーを好まないのか、ストーリーを進めずに状況を整理しただけで終わってしまいましたし、劇団のお姉さんはおばあちゃんや小学生のような発想のぶっ飛びがなく、作り慣れた形に落とし込んだ、こなれた感じがありました。同じ人がすべて書いたのだとしたら見事な書き分けですが……。

 合間に挟まるドラマパート(語られた物語を再現したパート)の中にも、語られたストーリーとのつながりが見えない部分があって、これが「語り部を探す」映像なのか「語られた物語の再現」なのか、「映像コラージュの1パーツ」なのか、最後までよくわかりませんでした。
 さらに、小学生の男の子が話を終わらせてから、魔法の虎の物語で映画は終わらず、最後に更に関係ない映像が差し込まれています。これも本編とは何の関係もないので(映像がクリアでなかったこともあって、特に子供は顔の見分けが付かなかったので、実はそれまでに登場していた男の子がいたのかもしれませんが)、ストーリーを追いかけるタイプの作品に慣れている私には意図がわからず不可解なのですが、他にもオフショットが混ざっているので、私には見えない何らかの意図があるのだと思います。たぶん。

 私にとっては謎の多い作品で、監督を始めとする作り手の意図を飲み込めたとはとても言えないのですが、ちんぷんかんぷんなりに、この映像は邪魔だなという瞬間はありませんでした。きっと、もう少し目のいい方が観たら、多くのものが見えるかもしれません。

 解説付きの小冊子を映画館で頒布されてたので、この記事を投稿してから読んでみようと思います。不可解な部分が腑に落ちるかどうか、そもそもそんなに詳しい解説が書いてあるのか、楽しみです。

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