底なし宝箱

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Mission 21.5 (2)

ポート・エドワーズ上空では今でもニューコム、ゼネラルの両軍が戦っていた。 しかしユウ達の活躍によって既にゼネラルは壊滅に近いダメージを受けた。 残ったニューコムにも攻撃を行おうとするユウ達。 しかしそこにウロボロスの部隊が迫りつつあった。

ニューコム本社ビル。 サイモンの研究室はビルの中間あたりにある。 サイモン・オレステス・コーエン、ニューコムの情報環境開発事業部に所属し、軍事兵器開発を担当するコンピューター学者。 今では新型戦闘機ジオペリアの開発にも携わっている。 かつてはゼネラルリソースに在籍していたが、ある事件をきっかけに一部の研究者たちと共に、当時他陣営の研究者達を積極的に受け入れていたニューコムに移籍した。 ある事件とは、ヨーコ暗殺事件である。 ヨーコ・マーサ・イノウエ、元ゼネラルリソースの脳生理学研究スタッフ。 ディジョンとは電脳化(サブリメーション)実験の研究者と被験者という出会いから始まり、次第にディジョンに惹かれていった。 やがて二人は恋人同士となるのだが、ヨーコの研究成果は危険なものとゼネラルの上層部では判断され、結果彼女は殺害された。 この時にディジョンはサブリメーションの実験を受けており、この時に彼の自我はエレクトロスフィアに移植されたものと本来の肉体にあるものと二つに分かれてしまった。 そしてヨーコが殺されるときに、自分の肉体の方の存在、自我までも失うこととなってしまう。 一方、ヨーコとゼネラルリソース時代に同僚だったサイモンは、ヨーコに密かな好意をよせていた。 研究のみが唯一の生きがいだったサイモンの、数少ない恋。 ヨーコがディジョンに心を奪われていると知ったサイモンに二人に憎悪や嫉妬といった感情が芽生えなかったとは想像しがたい。 恐らくヨーコを失ったときにその感情は決定的なものとなったと考えられる。 結果としてサイモンはディジョンをこの世から消し去るために、ユウという存在を作り出したのだから・・・・・・・・・・・・。 既に本社ビルからは退避勧告が出されおり、ニューコムの研究員や社員および首脳陣、そしてクラークソン代表らはビルを通じて少し離れた場所の地下にあるシェルターへ避難していた。 本社の機能の移転も完了した。 しかしサイモンは自分の研究室にまだ残っていた。 ある人物からコールが入ってきたからだ。 それにゼネラルが壊滅的なダメージを受けているため大丈夫だろうとも考えていた。 通信はUPEOのパークからである。 ギルバート・パーク、かつてゼネラルリソースの要職についていた。 パークはヨーコ暗殺事件後にサイモンら研究グループにニューコム移籍を推薦した張本人であった。 その後パーク自身もニューコム移籍を図ったが、保身に走ったサイモン達によって阻止されてこれまでの地位を失うことになる。 そこを上司であるナシメントに救われUPEOに出向するという過去があるため、二人の仲は極めて悪い。 今頃こんな時に嫌味でも言いにきたのかと思いながらもサイモンは回線を開いた。

「パーク、一体何の用だ?昔のことで嫌味でも言いにきたのか?」
『そうではない。お前に面白いものを見せてやろうと思ってな。』
「何?」
『いまこの街でやっている戦闘の事を報道しているニュースを見てみればわかる。』

サイモンは言われるままにニュースを見てみる。

『こちらはポート・エドワーズの上空です。現在、UPEOのSARFの介入によって、戦闘は次第に鎮静化に向かっているようです。ゼネラルリソースの方 は・・・なんだ?カメラさんあそこズームして!え、ズームできないの?えー現在銀色に輝く正体不明の機が1、2、3・・・・・・8機。それと同じタイプの 黒紫の機が・・・・・・な、なんだ!あの戦闘機の大群は!』

画面には特殊な形をした戦闘機が9機、その内一機は黒紫に塗装されている。
間違いない、数日前に強奪されたジオペリアだとサイモンは悟った。
そしてその後ろには大量の戦闘機の大群が続いている。

『えーあれは今声明を出しているクーデター組織のらしいですが・・・。あっ!今戦闘機郡の一部の機が進路を変えました。ニューコム本社の方に向かっています。その他は・・・、やばい!こっちに向かってくる!早く逃げろ!なにやってる右だ!あっ、何か撃っ・・・。』

ジオペリアの一機が光って何かを報道ヘリに撃ちこんだと思うとそこで画面は途切れた。

「どういう事を表しているんだ、これは。」
『まあその前に会わせたい人物がいる。』

画面が変わりディジョンの姿が現れる。

「ディジョン・・・・・・。」
『久しぶりだなサイモン。』
「何の様だ。」
『隠しても無駄だ。お前が私を消すために送ってきたSARFのエース、ユウに危うくやられそうになったのだからな・・・。』
「どういうことだ!?」
『私はもしもの時のためにお前が開発したジオペリアに私の記憶をオリジナルとして移しておき、かわりにコピーを活動させておいた。お前の事はシンクロしている私のコピーが消される時に、奴が全てを教えてくれたよ。』
「ばかな!あのときあいつの記憶は全て消したはずだぞ!」
『どうやらどこかに自分のバックアップを残しておいたらしいな。さて悪いがお前には消えてもらおう。またこんな事をされてはたまらないからな。窓の外を見てみろ。』

窓の外を見てみると”UI-4054”『オーロラ』を筆頭に12機のウロボロス機がこちらに向かってきている。
このオーロラもディジョンが操っている。
そしてその中にはシンシアの白いカラーリングのデルフィナス#3も含まれていた。

「ばかな・・・・・・私のシュミレーションとプログラムは完璧だったはずだ・・・。」
『予想は所詮予想に過ぎないということだ。ゲームオーバーだサイモン。』

そう言うとディジョンは通信を切った。
サイモンは放心状態となりただその場に立ちつくした。
ミサイルが放たれた時、サイモンは声にならない叫び声を上げた。
ヨーコの事を叫んでいたのかもしれない。
次の瞬間、サイモンの肉体はミサイルの爆発と共に粉々に吹き飛んだ。
そしてニューコム本社ビルは跡形もなく崩れ去った。

「ディジョン・・・・・・、私は・・・。私はあなたを倒す!これ以上好きにはさせない!」

突然シンシアが他の機に対して攻撃を仕掛ける。
いきなりの攻撃でたちまち2機が墜とされる。
しかしディジョンのオーロラの機動力に翻弄され次第に追い詰められていった。


一方キースはその後やって来た追撃部隊を退け、ポート・エドワーズまで来ていた。

「くそっ、ここまで来たのはいいが肝心の奴がどこにいるのかさっぱりわからん。」

そこでキースはシンシアが戦っているのを見つけた。

「あの黒いヤツの動き、間違いない、ディジョンだ。あいつら仲間割れか?だったらここで俺のケリをつけさせてもらうぞ!ニューコムの白いの、助太刀するぜ!」

キースのいきなりの奇襲によって2機がミサイルで、1機がキャノンによって墜とされ残りはオーロラも含めて6機となった。
しかしそこで敵はこれ以上の戦闘は無意味だと考えたのか撤退していく。
HUDにシンシアの顔が映った。

『ありがとう、助けてくれて。あなたは?』
『おれはゼネラルのGRDFのキース。あんたは?見たところやつらとは戦っていたようだが。』
『私はニューコムのNEUのシンシア、元だけどね・・・。さっきまではウロボロスに所属していた・・・・・・。』

自嘲気味に話す。

『どうやら訳ありらしいな。・・・・・・・・・これだけは答えてほしい、ディジョンを・・・奴の今やろうとしていることをあんたは止める気があるか?』
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・。』
『止める気があるなら奴の本拠地のことだけでも教えてほしい。奴をこのまま野放しにしておくわけにはいかない。』
『わかったわ、ディジョンの、ウロボロスの本拠地、それは空中空母スフィルナよ。私も決着をつけに戻るつもり・・・・・・。ところでキースでしたっけ?』
『なんだ?』
『一緒に来てくれない?』
『・・・・・・ああ、いいだろう。ただし奴とのケリは俺がつける。』

こうしてシンシアとキースは行動を共にすることになる。

生江 晋士さん
01.20.AM 更新