底なし宝箱

[top]   [story]   [short story]   [present]   [diary]   [offline]   [links]   [bbs]

| [トップページ] | [濱霧 緑炎さんトップ] |

Mission 3

10月13日 午前10時40分 
NEUワイアポロ山脈航空基地 上空10000メートル 演習空域


「SARF06よりルシファへ、位置に着いた、いつでもこい」
『ルシファ了解』

無線から聞こえてきた少女の声を聴いて、クリスは辺りを見回した
その数秒後に、レーダーが敵の接近を意味するアラートを発した

「ニューコムと空戦訓練?」
「そうだ」

エリックはそう言って話し始めた

「今後の紛争悪化に備えて両企業とUPEO間で合同の軍事演習を行うことになった、オレ達は明日中にワイアポロ山脈のニューコム航空基地に展開して訓練を行う予定だ」

エリックはそこで一度言葉を切った

「オレ達の相手はニューコムのテスト部隊"スカイ・エンジェルス"だ、相当のエースチームらしいから気を抜くなよ」
「エンジェルスか・・・・・・」

誰ともなく、SARFの紅一点であるクレアがそう呟いた

「それとクリス、お前の相手すごい奴だぞ」
「すごい奴?」

クリスはオウム替えしに聴いた

「お前の相手、向こうの少女パイロットだぞ!しかも結構良い娘らしいからな」

クリスはそれを聴いて、思い切りずっこけた
他のSARFのメンバーがそれに追い打ちを掛ける

そして3日後、クリスはその少女パイロットと対峙していた
正面から真紅に染め上げられたニューコムの戦闘機がこちらに猛スピードで突き進んでくるのが見えた
数秒後、クリスのハイパーフランカーのすぐ上を、無尾翼に前身翼という独特のデザインを持ったニューコムの最新鋭戦闘機、R-104"デルフィナス#4"が背面飛行ですれ違っていった
二機はそれぞれ反転すると、再び正面を向き合うヘッドオンの状態に戻った
クリスはバルカンを、紅いデルフィナスはレーザーバルカンを互いに連射した
クリスは急上昇して、デルフィナスは下降してそれを交わすと再び互いのバックを取ろうとし始めた

「結構やるな・・・」

クリスは誰ともなくそう呟くと、紅いデルフィナスにロックオンしようとしたが、急上昇で交わされてしまった
遅れずに上昇して再びバックを取ったが、デルフィナスはロックオン出来るか否かのギリギリのところを飛行していた
唐突にその機体が垂直上昇して太陽の中に入った、クリスがまぶしさに一瞬目を閉じた瞬間に、デルフィナスは視界から消えていた
レーダーをみても、2つのてんが重なったまま動いていなかった
クリスはフランカーを上昇させて垂直上昇から宙返りを描き始めた
その直後、先ほどまでクリスのフランカーがいた空間を模擬弾のミサイルがかすめる
そのまま宙返りすると垂直上昇しているデルフィナスが視界に入った、迷わずバルカンを連射して、デルフィナスを"撃墜"した

「アイツ・・・・・・結構やるな」

基地の駐機場で、その光景を見ていたエリックはそう呟いた

「ホント、木の葉落とし掛け返すなんて・・・・・・」

"木の葉落とし"
この2機が行ったのはそう呼ばれる機動だ、第二世界大戦中に日本軍のエースパイロットが行った機動で、わざと敵に自分のバックを取らせた後、垂直上昇して 太陽の中に入り、相手が怯んだ一瞬のうちに自機を失速させてその場でほとんど高度を変えずに宙返りを行って敵を素通りさせた後、バックを取って撃墜すると いう物だ
クリスはその機動を掛けられて、再び掛けさせたのだった

「にしても・・・・なんか変ね」

エリックの横にいた女性がそう呟いた

「何が?」

エリックはその女性にそう問い返した

「だって変じゃない?、なんか私たちの飛んでる所見てるみたいで」

その女性、フィオナ=C・フィッツジェラルドNEU航空大尉はそう言って再び空を見上げた

訓練が終わった後、クリスは食堂で一人くつろいでいた
他のメンバーも訓練は終了しているだろうが、昼食には遅く、夕食には早いこの時間帯には誰も訪れていなかった
そこに、一人の少女がクリスに近寄って声を掛けた
ニューコムのパイロットスーツを着て、黒い髪のセミロングに紅いバンダナをした少女で、歳はクリスとさほど変わらないだろう

「久しぶり」

少女はそう言って、クリスの向かい側の席に腰掛けた

「雪花か?」
「せーかい」

その少女、飛鳥井雪花はそう言ってニヤッと笑って見せた

「話し聞いてたけど、ホントにUPEOに行ったんだ」
「まぁな」

クリスはそう言って、再び紅茶をすすった

「相変わらずね・・・・」
「そうか?」

そう話している内に、クリスの携帯が鳴り出した

「時間か・・・・」

クリスはメールを見てそう呟いた

「もうこンな時間か・・・私も行かないと」

雪花もそう言って立ち上がって、それぞれ出口の方に歩いていった

ハンガーに戻ってきたクリスを迎えたのは、SARFのメンバー全員の意味ありげな笑みだった

その気迫に一瞬押されて、クリスはハンガーから出ていこうとしたが、すぐに



「2人っきりでなにしてた?」



というような質問責めにあって、すぐに拘束される羽目になった

濱霧 緑炎さん
01.20.AM 更新