底なし宝箱

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Mission 6

SARFに新型機が配備されてから数日後、再び両企業の間に緊張が走った、コモナ諸島の南端に位置するニューコムの海上都市"アクア・パレス"の空港で爆弾テロが起こって、民間人を含む死傷者が出たのだ ニューコムは"海上都市の防衛"を名目に空母を含む多数の軍艦を派遣、ただでさえ緊張状態にあったゼネラルは"万が一"に備えて近海に自軍の艦隊を展開、膠着状態に陥っていたが、2日前、状況は一転した ゼネラルの哨戒機がニューコム所属機と思われる戦闘機に撃墜され、ゼネラルはこれを機にアクア・パレスに向かって艦隊を移動させ始めた、ニューコムはこの事実を否定したが、アクア・パレスに艦隊を進め、戦闘の態勢を取った UPEOは"無実の民間人が戦闘に巻き込まれる危険がある"としてSARFを初めとした空軍部隊出撃を命じた、後に言う"アクア・パレス海戦"の勃発である

11月6日 午後7時30分 コモナ諸島沖合 UPEO第一機動艦隊旗艦"ガブリエル・W・クラークソン"ブリーフィングルーム クリスは空母で他のSARFのメンバーと共にブリーフィングを受けていた

「アクア・パレスには多数の民間施設が、港湾区画には非武装のタンカーがいる、これらの目標には全く手を出さないで、軍艦だけを狙う、わかったな?」

エリックはそこまで言って言葉を濁した、目線は端の方の席に座っているクリスに注がれていた

「クリス?!」

クリスはその声でハッとなった

「なんかあったのか?」
「別に・・・何とも」

クリスはそう言ってスクリーンを見た

それから1時間後、SARFを初めとするUPEO空軍はアクア・パレスに向かって飛行していた

『司令部よりUPEO全機に次ぐ、ゼネラルリソース、ニューコムの両軍は我々の警告を黙殺した、両艦隊に対して攻撃を許可する、速やかに作戦を遂行せよ』
『SARF01より編隊全機へ、聞いての通りだ、全機編隊を組み直して攻撃を開始しろ!』

その声を合図に、UPEOの戦闘機隊は眼下の人工島の集合体に向かって降下し始めた

その光景は戦争でなければ非常に美しかっただろう、ニューコムがメガフロートに続く海上開発計画として進めたこの"アクア・パレス"は移動こそしない物 の、6つの島々の間に作られた15の人工島からなる大都市で、夜の闇の中でもその光がはっきりと確認できた、クリスはその光景を一瞬見つめたあと、他の2 機と共に橋をくぐり抜けて前方の大型戦艦を睨み付けた

『でかいな・・・・・・外すなよ』

そう言ったのは先頭を飛んでいたエリックだ

『大丈夫ですよ、急所外すなんて器用なマネ出来ませんから』

クリスの右側を飛んでいたクレアはそう言ってエリックのコトを見た

「じゃあヘタクソなのかよ?」

クリスはそういってニヤッと笑って見せた

『止めとけ、そろそろ攻撃に移るぞ』

エリックのその声と同時にHUDに《GeneralResource》と表示された軍艦が現れた
GRDF所属の戦艦"ゼネラル・リソース"、1世紀近く前の、未だ国家が権力を握っていた頃の大戦で使われた戦艦をゼネラルが改修し、現ゼネラルリソース艦隊の旗艦となった艦だ

『行くぞ、・・・・ミサイル発射!』

エリックのその声と同時に、クリスとクレアも同じようにミサイルを発射した
同時に機体を勢いよく上昇させる
そして、激しい爆発が背後で起こった

『戦艦"ゼネラルリソース"撃沈!』

その声をかき消すかのように、再び爆発が起こった
ゼネラルとニューコムの増援部隊がレーダーに移ったのは、ほぼ同時だった

HUDに敵が写って、ロックオンの表示と共にミサイルを撃つ、そしてさっきまで写っていた敵は爆発して、夜の海に向かって墜ちていった
アクア・パレスの戦いは鎮静化に向かっていた、ニューコム、ゼネラルの増援部隊もUPEOの戦闘機隊に追い返され、艦隊も旗艦を失ったことにより撤退を始めようとしていた
クリスは墜ちていく敵機を見つめたあと、デルフィナスを加速させて、味方の艦隊の方に機首を向けた
と、同時にレーダーに大きな光点が写った、しかもクリスのすぐ近くに
咄嗟に辺りを見回すが、それらしき機影は見あたらなかった
ふと、上を見ると、1機の紅い戦闘機が此方に向かってくるのが見えた
クリスは迷わずデルフィナスの機首をその戦闘機の方に会わせた
その直後、クリスのすぐ脇を真紅に塗装され、主翼に堕天使のマークを入れたデルフィナス4がかすめていった

「雪花か?」

クリスはそう呟くと、デルフィナスを反転させた

『クリス・・・・クリスなの?』

雪花の声が無線に入った

「ああ、そーだよ」
『やっぱりね・・・・・・ねぇここでこの前の決着付けない?』
「決着?」
『そう、今ここであたし達が戦ってどっちが撃ち落とすか・・・・もちろん模擬弾で』
「そういうコトなら・・・・!」

クリスのその声と同時に、2機は大きく旋回すると、再び向かい合った
そして武器をテストモードに切り替えると、ほとんど同時にミサイルと機銃を撃ち合った
最初の一撃はお互いにはずれた、雪花は夜空に白い飛行機雲と薄い緑色の光を残して反転すると、クリスのデルフィナスに狙いを付けた
ロックオンの表示が出ない内に、クリスの機は機種を大きく上げてそのまま減速しながら飛行してきた、クリスが得意とする"コブラ"と言う荒技だ
雪花は咄嗟にそれを避けた、同時にロックオンのアラートが鳴り響く
気づいたときにはドンッと言う仮想の震動と共にダメージの表示が55%に跳ね上がる

「くっ!」

短い悲鳴を上げて、咄嗟に機体を立て直す、同時に勢いよく加速して距離を取ろうとした
十分距離を取ると宙返りをしようとした
それが命取りとなった
機体が180度逆さまになったとき、突然上から機銃のシャワーを浴びたのだ、同時に《You defeat》の文字がHUD現れた

「ナッ・・・・・何?」

雪花が状況を理解しない内にクリスの機が横に現れた

『オレの勝ちだな』

その声と同時に、ホロ・ディスプレイにクリスの顔が写る

「今日だけね・・・・・今度はこうはいかないから!」

雪花がそういったと同時に、2機に帰還命令の無線が入った

『・・・・今日はこれで終わりだな』
「そーね、悔しいけど・・・・・」

雪花はそういうと

『クリス、何してんだ!早く帰還しろ!』
『雪花?!、早く帰還して!』

2人はそれを聞くと、それぞれ反対に旋回していった

空母に帰還して、エリックに軽く注意されたあと、用意された部屋に戻ってきたクリスはビデオメールが届いているのに気がついた
開いてみるとニューコムのアカウントで、差出人は《SEKKA》となっていた

『さっき、あの後上司に怒られたんだ、いくら友好関係にあるからって敵のパイロットと模擬戦をするなって』

考えれば当然のことだろう、事実クリスも"軽く"注意を受けてきたばかりだ

『でも、だからってクリスと戦う気が無くなった訳じゃないから、今日は負けたけど・・・・・この次は絶対勝ってみせるから、覚悟しといてね』

そういって雪花からのメールは終わった
クリスは一瞬考えた後、キーボードに手を伸ばした

濱霧 緑炎さん
01.20.AM 更新