底なし宝箱

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One (1)

「前部ギアシステム」

 「チェック―――OK」

 「後部ギア」

 「チェック―――左右共に異常無し」

 「電装系は?」

 「確認済みです。簡易ですが大丈夫でしょう」

 「じゃ、足回り終了。左主翼パラメータ」

 「46から57、基準値。OKです」

 「右主翼」

 「左と同じ。チェック――OK」

 「左尾翼パラメータ」

 「97から99、チェックOK」

 「右尾翼」

 「左と同様、チェックOK」

 「右可変翼」

 「稼動確認、電圧確認」

 「97で安定、OK。左」

 「稼動確認、電圧確認」

 「96、OK。右エンジン確認――ん?何の音だ」

 「右エンジン、メンテハッチ開放。エアブレード異常無し――軍楽隊よ、今頃は偉い様達の前ね」

 「メンテハッチ開放警告正常認知、ディスフュール確認――『Don't STOP』だな」

 「ディスフュール確認、視認異常無し――『Don't STOP』?」

 「ディスフュール電気信号確認、異常無し。左エンジンに入る――2050年代を代表するロックバンド」

 「左エンジン、メンテハッチ開放。エアブレード異常無し――詳しいの?」

 「メンテハッチ開放警告正常認知、ディスフュール確認――祖父曰く「博識であれ」」

 「ディスフュール確認、視認異常無し。オールクリア、両メンテハッチ閉鎖――なら『YOU'S』は?」

 「メンテハッチ開放警告沈黙、異常無し。ウェポンベイ確認――知ってる、『Dive』は良かった」

 「ウェポンベイ稼働確認――スマート持って無い?欲しかったのよ、アレ」

 「ウェポンベイ確認、AM確認――メディア化してあるから聞けないかも」

 「AM確認、ノンセーフティ、コントロールジャック確認、OK――よかったら貸してくれない?」

 「AM確認、LRAM確認――聞けたらの話だけどさ」

 「LRAM確認、ノンセーフティ、コントロールジャック確認、OK――いいよ、いいよ。私の家、一式揃ってるから」

 「LRAM確認、ガンセーフティ確認――ま、別に良いけどさ」

 「ガン、ノンセーフティ。補充口閉鎖確認――直に取りに行って良い?」

 「レーダー、センサー確認。ジャミングON――スフィアで送れるのに?」

 「ジャミング波確認、OK――自分の手で運びたいのよ」

 「ジャミングOFF。メインバッテリー起動、電圧確認――止めはしないが」

 「6540、許容範囲内。OK――じゃ、明日にでも」

 「メインコンピュター起動、自己診断プログラム稼動――急すぎる、暇になったら連絡するから」

 「自己診断プログラム確認、ギアライトチェックOK、NNPFステルス装甲チェックOK――なら、それまで我慢するわ」

 「自己診断終了、異常無し。オールグリーン――殊勝な心がけだ」

 「チェック完了、オールグリーン――アリガト、楽しい空の旅を」

 『To R-2XX,your callsign [Alpha-one]』(R-2XX、コールサイン・アルファ01)
 「Alpha-one, Roger』(アルファ01、了解)
 『OK Alpha-one. Enter runway two four. I order the timing of the take off』
 (アルファ01、24番滑走路へ入れ。離陸のタイミングは此方で指示する)
 「Roger」(了解)
 『離陸後の指示は空中指揮機に従え、良い旅を』

 『今回、開発初期から問題点は安定性でした。無垂直尾翼機として既にR-104がロールアウト、実戦配備も進んでおります』
第三開発室長のウェリア・ハーディアスは正面から突き刺さる視線に耐えながら説明を続けた
 『R-104は高機動戦闘機として優秀な一方、ステルス性を考慮し反射面積を抑えた結果として安定性を失いました』
 同時に彼女の背後のビデオスクリーンに青いR-104の飛行映像が流れる
 只の飛行ではなく戦闘飛行やら訓練飛行
 『無垂直尾翼機では前世紀に活躍したステルス爆撃機などの隠密性の問題
  またゼネラルのXFA-36や最高の機動性を誇ったナイトレーベンなどは
  安定性の無さから機体がパイロットを選ぶと言う事も有り、それ故に無垂直尾翼機は疎外されてきました』
先程と同様にB-2の映像、それに加えXFA-36の資料映像とナイトレーベンの事故調査記録
 『そこで我々は・・・』
指の合図と共にスクリーンが入れ替わる
一機の基本設計理念と簡易設計図
 『ツーエンジンのフォーアウトを理念に置き、新しいコンセプトを元に設計を開始しました』
設計図から一部がクローズアップされ各パーツに名称が添えられる
二つのエンジン、そこから伸びるのは4つのエンジンノズル
 『エンジンにはR-104にも搭載されたGRⅦの改良型Ⅷ´を使用、回転効率を14%上昇させた代物を比較的前方へ配備し
  ジェットによる推進力を分割、上に2つ、下に2つ、計4つの可変エンジンノズルと個々に対応する水平尾翼にて問題を解決しました
  風洞実験の数値ですが安定性はR-101に引けを取らず、それでいてR-104に並ぶ機動性を確保しております』
設計図の一部が割れ風洞実験の様子を鑑賞頂く、数名の将校が性能に感嘆を漏らすのを彼は聞き逃さなかった
心の中で軽くガッツポーズ、それでも顔が晴れる事は無い
一つだけ心配事が残っている
そして、ちょうど一人の兵士が室内へ
敬礼と同時に離陸準備完了を告げた
そして室内は静まり返りスクリーンは外の様子を映し出す
 『では只今よりテスト飛行を開始します』
先程までガッツポーズだった彼の心の手はガッチリと組み合わされ成功を祈っていた

 『To alpha-one. Cleared to take off, Good Luck.』

CAN電池さん
01.20.AM 更新