底なし宝箱

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One (10)

 ―――セクトファーリア42

 「セフィリア~」
と未だに駄目父っぷりを見せる男は反応の無いインターフォンを諦め自分の鍵で扉を開ける事にした
静かに家の中へ入る、時は既に明け方
訳が分からないうちにUPEOの職員が入り込んで明け方まで立ち入り調査を名目に資料を粗方持っていかれた
監督役を引き受けた男だが疲れた表情など見せず、愛しの娘を探して右往左往
最後の部屋、趣味で集められた音楽機材が集められた別名スタジオ
その中から微かに聞こえる何かの音、それは連続で再生され止まる様子は無い
音を立てずに室内へ進入するとソファーに寝転がったまま就寝の愛しの娘フェミリア
寝顔を鑑賞したいというセクハラ同然の気持ちを抑えつつ再生中のビデオに向き合った
 「全く、再生したまま寝るなんて・・・」
別段娘のビデオなど興味無いし、男が興味を持つのは大半が娘関連
そのビデオも閉じようとした、その瞬間、まさにその時
ビデオは最後まで到達、リピート機能が作動し一番初めからの再生が始まる

 『遅かったな』

 『私も立場があってね。代表議員という権力者の』

 ―――ニューコム ダースバード空軍基地

 「それで?これから如何するの?」
付いて来いと言われたからには下手な抵抗は出来ない見ず知らずの基地内、迷彩服のリュックと後ろに続くユリカ
 「君も例のファイルを見ただろう。上からの命令が下り次第、この基地は第一級の戦闘配備に移行する」
 「まさか・・・UPEOに喧嘩売る気?」
一つ目の角を曲がり、三つ目の扉から地下への階段を下りる
 「・・・・一つ聞きたい事が有る」
足を止める様子も無くリュックは彼女に背を向けたまま問う
 「事件に使われた武器で何か情報は無いか?」
 「?・・・使われた武器って、あの対空ミサイルじゃないの?」
呆れた様子で肩から彼女の顔を伺う
 「沿岸警備隊の機銃を食らったのに傷が一つも付いていない新品同然の武器を未だに信じているのか?」
 「!!」
 「それに対空ミサイルといえばレーダーを積んだデジタル兵器。水没した物が正常に動くわけが無いのに・・・」
それでわざわざ確認に?とエリカが尋ね、まぁ苦労担当だから・・・とリュックが答える
 「・・・・・・そういえば、沿岸警備隊のヘリパイロットが対戦車ロケットを見たって・・・」
 「・・・・そうか」
 「もしかしてさ、拡散型の弾頭で攻撃したとか」
 「なぜ、そう思う?」
 「戦闘機とか詳しく無いけどさ。エンジンに物が入ったら壊れるんでしょ?」
 「!!」
始めて立ち止まるリュック、連動する様に立ち止まるエリカ
そして振り返るリュック、エリカを足から頭まで見直すと一言
 「意外と頭まわるじゃないか」
そして再び歩き出すリュック
 「・・・・・・・・・・・意外って何よ!!!!」

 「・・・そうか、わかった」
一通り説明を聞けば彼の意味するところは理解できる、それほど単純で複雑な真意
 「レイナ!」
と彼の秘書を勤める女性を呼び出す
 「NAFFE(NEU作戦司令室)の緊急招集を要請。急を要すると」

 「・・・・何これ?」
ずらりと並んだ武器・武器・武器、大量に並べられた武器は壮観でもある
 「今から黒幕を引きずり出す。その為には武器が必要だろ」
と手近な武器を手に取る、NM-47ライフル
射撃の精密度に置いて最高ランクを誇る黒いライフル、C弾倉を二つ手に取ると中央の机へと並べる
簡単な点検を済ますとスリリングベルトを肩に通す、何処か様になっているのが奇妙な感じだ
 「あなた、本当にテストパイロット?妙に慣れてるように見えるんだけど」
 「今はね。士官学校の時は戦術実験部隊だった、人手不足を理由に結構実戦に引きずり出されたよ」
なるほどと頷くと嫌に鋭い彼の視線に気づく、そして・・・
 「まずは着替えだな。シャワー室も手配してやる」

 ―――ゼネラル所属 ダイスロイス基地

夜遅くのコール、本社経由のホットラインが鳴り響く
それを嫌々持ち上げる制服姿の男
 「ヴァーネマンですが?」
 『私だ、アムステスだ』
 「将軍閣下!」
何故か姿勢を整えてしまうのは軍人としての性か、それとも上司を前にした会社員か
どちらにせよ大物からの通信に違いなかった
 『挨拶はいい、時間が無いんだ』
 「何用でしょうか?」
 『UPEO本部に何か様子はないか?フライトプラン未確認の離陸とか、防衛体制を強化したとか』
慌てて秘書を呼び出す、上司の慌てた様子に同じく慌てて飛び込んでくる秘書官
話相手が将軍だと分かるだけで仕事は通常の三倍で終わるだろう、即座に情報室UPEO担当とレーダー室長を召還
秘書と同じように慌てた様子でカメラ映りを気にする二人がヴァーネマンのモニターに
 「将軍も聞いている、詳細な報告を」
リンクを本社経由で将軍の送信先へ転送、回線同調クリア
 『情報室UPEO担当のアリウスです。部下の報告によればUPEO本部には特に異常は見られず通常通りとの報告です』
 『内部はどうだ?』
 『部下の報告では地下駐車場銃撃戦の会見に代表議員が現れなかったとの報告があります』
そうか、と小さく呟くと矛先をレーダー室長へ
 『UPEO本部付近で何か不審な点は無いか?』
 『フライトプランに無い5機を確認しております、通信でUPEO専用機一機と護衛機四機と確認済みです』
 『それだ!行き先は分かるか?』
 『離陸直後に南下航路に乗ったので行き先はニューコムのメガフロートかUPEOの宇宙開発基地のどちらかでしょう』

 ―――ニューコム ダースバード空軍基地

 「ついさっき、NAFFEから戦闘命令が下りた。動ける部隊は移動を始めている」
 「作戦計画は?」
 「NAFFE直々の作戦本部が立案中、情報部では近くのメガフロートⅡを移動させるとの予想だ」
 「リュック!こんな恥ずかしい服装で動けって言うの?」
シャワー室から出てきたエリカを冷静な目で見るリュックと頬を赤くする別の男性
 「・・・この人は?」
 「士官学校で同期だった情報部のアーケリスだ。それよりさ・・・・」
冷静で下心の排除された目つきでピチピチのガードスーツで出てきたエリカに一言
 「それは下着代わりだ、その上から服を着るんだよ」
と真実に驚くエリカ、冷静に自分の姿を見直して慌てて更衣室へ戻る
やや乱暴に扉が閉められる(自動ドアにも関わらず)と二人は何事も無かったかのように会話再開
 「基地の状態は?」
 「すでに戦闘配備に入った。輸送用のR-307も離陸準備、空挺隊員はブリーフィングを受けている」
 「俺達は?」
 「君達は基本的に独自の行動が取れる。それに現場指揮官は君にやらせろとのNAFFE命令が来てる」
 「自分の事で精一杯だぞ」
 「何、勝手に動けと言えば勝手に動く。もともとアソコはニューコムの物だったんだからな」

CAN電池さん
01.20.AM 更新