底なし宝箱

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One (13)

 ―――宇宙開発基地

 「まずはコントロール室、もしEがいるならコントロール室だろう」
銃のセーフティを解除、右指をトリガーの横へ添えた
エリカも同じように小型のサブマシンを構えた、ヘリは降下し屋上のマークへ接地
銃座が移動し二人が屋上へと降り立つ、同時に銃座は元に戻りヘリポートから退去
 「・・・もう行くんだ」
 「当たり前だ」
直後に二機が姿を現し一機が護衛で一機が降下、ファストロープを垂らすと同時に4人が降下開始
屋上に敵影無し、堂々と歩くリュックにオドオドしながら後に続くエリカ
彼らに集まる隊員達で構成された一団は扉へと向う、リュックが引いたが開かない
 「爆破しますか?」
 「いや、面倒だ」
自分のモバイル用のバッテリージャックを引き抜きカードスロットへ突き立てた、これで難なくロックは開く
 「行くぞ、気を引き締めろ」
全員が銃を構え室内へ、敵の見当たらない広めの通路を確保
奥のエレベーターホールも同時に制圧する
 「誰もいない・・・」
 「恐らく外に出払っているんでしょう。」
部隊の小隊長が彼らに歩み寄る
 「どうしますか?」
 「エレベーターを全基集めろ、同時に目標の階へ下りる。誰かコントロール室分かるか?」
手を上げる一人、モバイルでマップを呼び出すと赤い円で場所を記す
 「14階、ここの真下です」
 「全員聞け!」
手馴れた様子で全員を注目させる、指示慣れしている証拠だ
その手際の良さには情報部のエリカも唯唯感心するばかり、それだけ妙に適役だった
 「今から下の階を制圧する。二名はエレベーターホールの確保、残りでフロアを制圧する。質問は?」
誰も口を開かない
 「行くぞ!」
全員が再び銃口を前へと向けた

 「エレベーターホール、クリア。非常階段も一緒です」

 「1に進入、抵抗無し」

 「2クリア、3も同じく」

 「5クリア、4へ移動します」

 「9クリア」

 「8クリア、9を通過し7へ」

 「4クリア」

 「7クリア」

 「6、敵排除。見方に損害無し」

 「7クリア」

 「全フロアクリア、直ぐにエレベーターホールへ集合しろ」

 「行くぞ」
掛け声と共に全員が前進を始める、銀色の扉を強引に開き一人が中へと滑りこむ
閉じない様に特殊な素材で出来た特殊棒を挟み閉じないようにすれば残りの隊員も中へ
余り明るく無い室内、全員が息を潜めて中を伺う
中では一人の男と警備らしき黒服の男、他に人影は見当たらない
リュックが手で横Tの字を作り突入用意、両手を組み引っ張り合図次第突入の指示
一斉に全員が飛び出す用意をした、リュックもエリカも他の隊員全員も
 「行け!」
リュックが飛び出し彼らの足元に威嚇代わりのフルオート射撃、ひるんだ隙に残りの隊員が彼らへと走る
 「武器を捨てろ!両手を頭にのて伏せろ!伏せるんだ!」
 「伏せろ!伏せろ!」
あっと言う間に地面へと押し付けられ銃口を向けられた黒服二名、目標は机へと押し付けられ両手を拘束される
 「貴様ら!何の権限で・・・」
 「ニューコム・ゼネラル同意で行なわれるUPEO調査だ、貴官は営業妨害をはじめとした様々な罪に問われている」
何処か拍子抜けした感じでリュックは彼の目の前に大量の書類を乱暴に叩きつける
USEA基本宣言に基づくUSEA基本裁判所発光の拘束権などの資料
 「7:45、アンガーUPEO代表議員確保」
ガチャリと手錠が掛けられ男は隊員達の手によって強引に立たせられる
 「連行しろ!」
ゆらりと立ち上がる男、だが彼は黙って連行される男では無かった
男達の拘束を振りほどき隊員が蹴り飛ばした拳銃へと飛びつく、銃を手にした男は振り向くと一発
男の抵抗はソコで終わった、リュックの弾丸が火を吹き男の肩を撃ち抜いた
赤い液体が飛び散り、手に銃を落す
再び隊員達に抑え込まれた男、だが口元はニヤリと笑った
 「!!」
振り向いた途端、彼の顔が青ざめていく
エリカの脇腹に赤いシミが出来た時には怒りの余り気を失うところだった
彼の視界の中で彼女の体はスローの様に再生され彼女は崩れ落ちる、床には鮮血が飛び散り下から血が溢れていた
 「エリカ!」
慌てて駆け寄るリュック、他の隊員達も心配そうに顔を向けた
 「リュ・・ック」
 「喋るな!・・・クソッ・・・メディック!」
抜き取ったナイフで被弾箇所の迷彩を切り裂く、患部が露出し白い肌の上を血が流れる
 「貴様だろ!エリオ!」
小隊長の声に我を取り戻す衛生兵、慌てて駆け寄ると背中の荷物を乱暴に下ろし中を開く
 「私・・・死ぬの」
 「死なせない!死なせるか!」
リュックにしては珍しい、いや聞いた事の無い感情的な声に他の隊員達も様子を探る
沈着冷静という固定観念から見た今日のリュックは些か感情的に見える、そう変えられたのかもしれない
彼の腕で苦しそうにしている彼女に
 「見たか!今は正義が勝つ時代じゃないんだよ!」
してやったりの代表議員、返事は言葉ではなく鉛玉だった
フルオートの射撃が彼の少しに着弾する、それは最上級の恐怖を感じる攻撃だろう
 「貴様に正義を解いた覚えは無い!」
拳銃を収める時間も惜しいのか取り出した拳銃は放置、無心注射器を押し当て中の液体を彼女の体へ
 「この建物に詳しい人間は?!」
激しい口調に身じろぎするも一人の男が手を上げる
 「医務室が有るはずだ!何階だ!」
 「一階だ、一度研修で来た事が有る」
小隊長が様子を伺いながらも口を開いた
 「地上部隊に医務室の確保を命じろ!」
通信兵は信じられない形相の彼に逆らう事は出来ない、彼だけじゃない
今、どんな人間でも彼の気迫に勝てる人間は一握り程度
 「Yes sir!」
クソッ、クソッと呟きながら消毒スプレーで血を洗い流し止血パッドを張り付ける、その上から固定ガーゼ
通信兵が受話器で命令を伝えている間に別の隊員が担架を広げる、ゆっくりとエリカを担架の上へ
 「なんか・・・足引っ張ってばかりだよね」
 「喋るな!喋らなくていい!」
 「喋らせてよ・・・最後かも」
 「最後にさせるか!!最後なんて二度と言うな」
 「・・・ごめんなさい、でも一つだけ」
 「・・・・・・・・・・・・・・・・なんだ」

 「私・・・・・・貴方の事・・・・・好き・・・・みたい」



 「・・・・・・・・・・安心しろ。俺も・・・・だ。」



 『先の事件から1ヶ月以上が経過し・・・・』

流れてきたニュース番組を興味無い様子でキャンセルしモバイルを自分の懐へと戻した

買いなおされた新車、前のよりも一段と高性能のスポーツカー

あの後、二人は各方面から報奨金やらボーナスが次々に舞い込み新車を買いなおすのに時間も手間も掛からなかった

代表議員は営業妨害・職権濫用・殺人未遂・殺人示唆・不当調査、様々な余罪が出現しパークを越えたとも噂されている

それでも一ヶ月が過ぎれば熱は収まり通常の世界へ

ほとんどの人間が元の枠組みへと戻り、世界は何事も無かったかのように今日も回っている

その内に事件も過去の産物でしかなくなる日が来る、だが彼らにとって関係の有る事ではなかった

店から出てきた白髪の女性、その女性の美貌とは裏腹に出てきた店には銃砲店の看板

そして彼女はドアを開け乗りこむ

 「ほら、貴方と御揃いの品。ようやく見つけたわ」

 「別に使う機会もないだろうに」

呆れた様子で彼女が見せびらかすNP52を眺める、対して彼女は構えたり触ったり

そんな彼女を眺める彼、呆れた様子で喜んだ顔を眺める

 「だって・・・あなた指輪したくないって言うし、一つぐらい御揃いがあってもいいじゃない」

無邪気な彼女を認めつつも彼はエンジンを起こした、静かで力を秘めたエンジンが咆哮を轟かす



 「何処へ行こうか?・・・・・エリカ」

 「何処へでも・・・リュックと一緒なら」

CAN電池さん
01.20.AM 更新