底なし宝箱

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One (5)

 ―――ディリア警備員自宅

 「俺だ」
喧しく鳴り響いた呼び鈴に慌てた結果として痛い小指に耐えながらも第一声を発した
 『ウェイトです、一つ確認したい事が?』
 「なんだ?」
 『本日の倉庫Bの警備はどうしたんですか?』
あぁ、その事かと軽く頷くと制服に収められたモバイルを取り出した。そして今日の予定欄を開く
今日の―――警備担当――――――
 「リュックって奴に代わってもらったよ。担当書き換えといたんだけど見て無いのか?」
 『いえ、確認です。それだけ分かればOKです』

 ―――UPEO本部 倉庫B

 「確認取れました。交代してますよ」
入り口で警備していた警備員Aがモバイルを胸ポケットに入れる
そして警備員Bがリュックへの警戒を解き、3人の視線は単身乗り込んできた白髪の女性
別に年寄りの白髪とは違い綺麗に流れる白髪の女性は一歩だけ後ろへ下がる
同じように3人が腰の拳銃に手を置き一歩だけ前へと進む、追い詰めるよう
 「わ、私もUPEO職員です。確認を」
そして取り出す黒いカバー付き顔写真付きUPEO職員証明書、USEAの地形にUPEO旗が重なった職員バッヂ
リュックが受け取り中身を確認する。そして一言
 「偽造じゃないのか?」
 「「「!!!!!」」」
慌てる1人と疑う2人
 「そんな筈が無い!何を根拠に・・・」
 「んー、本物にしか見えないけど?」
 「確かに」
全員で覗き込む疑惑のバッヂ、確かに本物と言えば信じて貰える精巧さ
 「本物に見えるから偽造って言うんだろ」
 「「なるほど・・・」」
更に慌てる女性、乱れぬ陣形で一人を包囲し逃走経路を経つと一人が拳銃ホルダーのベルトを外す
 「すいません、警備室の方まで」
 「だ、だけど!」
だが残りの二人もホルダーのベルトを外す、引き抜けば常時使用可能状態
警備員Bが手を伸ばし、黙って彼女は腰の拳銃を引き抜き彼の手に渡した
 「俺は先にバッヂの確認を取ってくる。ここは任せた」
 「了解です」
 「分かりました」

 「「申し訳有りませんでした!」」
深々と頭を下げる警備員のAとBに少々憤然気味の白髪女性、それに慌てて走り回る警備員達
UPEO本部に堂々と侵入し、一時拘束されかけるも適度な確証作りに警備員は攪乱し誤認を巻き起こした
犯人は堂々と正面フロアを通り、近くのゴミ箱に彼女のバッヂを投げ込むと地下駐車場から脱出
彼女の潔白が直接の上司の質問で確認が取れるまで5分間、誰一人として彼を疑う事は無かった
 「まぁ、仕方が無い。それより当番に戻れ」
彼女の上司、白髭を蓄えた60近くの男性はバッヂと拳銃を彼女に手渡すと窓から夜景を見下ろした
恐らく犯人は見つからないだろう、監視カメラをチェックさせてはいるが顔を捉えている物が無い
 「全く、犯人扱いなんて・・・」
 「まぁ、経験だと思うんだな」
自分の部下が拘束されかけたのにも関わらず彼は静かに笑って見せた
 「笑い事では無いんですよ!証拠を持ち去られる所だったんですから・・」
 「・・・なんで持ち帰ると思ったんだ?」
数秒の空白、しばらくの黙考後
 「それは犯人達が回収しようと・・・」
 「警備員一人だけで?俺なら警備員大勢でフロアを殲滅する」
再び黙考
 「犯人達が破壊しようと・・・」
 「破壊する必要があるのか?既に見分は終わっているのに」
更に黙考
 「何か隠されているとか・・・」
 「それなら既に発見されている筈だ。完全に分解したからな」
更に更に黙考
 「・・・・・・・・・」
もう諦めたのか考え疲れた女性に佇む男性は肩を叩いた
 「俺に任せろ。何とかしてみるから」

 ―――UPEO情報部オフィス――→アーク小隊長(少佐)オフィス

 『やってくれたなぁ、おい』
 「何の事だ?」
 『例の件の事。何か動かしただろ』
 「そうか、早速動いたか」
 『動いたって、お前。子烏の所為でコッチは大騒ぎだよ』
 「なに、対テロ訓練だと思えば安いものだ。なにせ実戦さながらのシチュエーションなんだからな」
 『まぁ、いい。どうせ大した情報も無いんだろ』
 「其方ほどでも無いぞ。何せ此方は優秀な子烏がいるからな」
 『そうか・・・・・・・・・・・・ヒントくれないか?』
 「相変わらず燕さんは素早い。それで見返りは?」
 『そうだな・・・今回の件を不問に・・・』
 「立件できるだけの物的証拠が無いのに?」
 『うむぅぅ、少しぐらい良いじゃないか。減る訳じゃないし・・・』
 「ならば良い案が有る。こちらは墜落機のデータとパイロットの証言、其方は事故直後のUPEO部隊の詳細」
 『うぅぅぅぅぅぅぅ』
 「俺でしか手に入らない情報だぞ?どうする?」
 『うぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ』
 「別段、例の物を手に入れるのに非合法手段を用いれば君に頼る必要も無い」
 『うぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ』
 「なんなら優秀な子烏に正式な事故調査をさせても良いぞ」
 『うぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ・・・・・・・・・・・・・・・わかった。それでいい』
 「よし、交渉成立だな。受け渡し場所は・・・・そーだなぁ・・・」

 『で銃撃戦が有りテロリスト5名が死亡、付近の住民が軽症を負いました。死亡したテロリストは先のニューコム実験機撃墜事故で
  犯人達が使用したアジトに潜伏しており、警察・UPEOが近日中にも使用されたアジトへ調査が・・・』


 「テロリスト達のアジトにしよう。実況見分が済めば立ち入りも可能だろう」
 『・・・・・わかった。手配しよう』

 ―――サイドビーチ487 テロリストのアジト

未だ硝煙の匂いが消えない室内にリュックは立っていた。目に付く弾痕と飛び散ったままの血痕
外見的に一般的な住宅の内部は一線を越えた現状のまま残されていた
さらに足を進め奥へと進む。扉を開き広めの部屋へ
テロの作戦に関する情報が貼り付けてあったのか途切れた血痕や日焼けの後
だが彼の目は1点を凝視する様に動かない。何処で手に入れたのかR-2XXのイラスト
空を飛び回る様子が描かれたイラストは開発局から流失したようでデザイン決定用のイラスト
それが此処に有る理由は良く分からないが流失した事だけは確かのようだ
とりあえず持ち帰るべく壁から外す、すると最新式のナンバーロックが彼の目の前に姿を現した
 「・・・そうか」
イラストを持参したトランクへ入れると自前のデジタルカメラで一枚、個人行動では証拠が多い方が良い
そしてパネルと向き合う、良く見るキーボードと似た内容でアルファベットとテンキー
<NEUCOM>エラー<GENERAL>エラー<UPEO>エラー
会社名では無いらしい。事件に関係性のある物
黙考
<R-2XX>エラー
しばしの黙考
<DENDORON>エラー
更に更に黙考

<DLION>・・・・・認証
扉が開いた、何も無い壁に穴が開き地下へと繋がる階段
人の気配は皆無、物音一つしない
右手で銃を抜く、セーフティを解除し構える
左手にライトを持ち点灯、ライトを逆手に持ち構えると右手を左手首へと添える
そのまま地下への一歩を踏み出した

CAN電池さん
01.20.AM 更新