底なし宝箱

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One (6)

 ―――サイドビーチ485

 「やべぇ!隠し扉バレちまった!」
とモバイルに映し出された警告画面に慌てる男、その隣ではAS-45ライフルを磨く男
彼らが後部座席、丁度中央にはMGS-78サブマシンガンを構える男二人
運転席の男はキーを回し、助手席の男はダッシュボードからAH-7ハンドガンを取り出す
 「誰だよ、「絶対ばれない」とか言ってた奴は」
 「ばれる訳が無い。仮決定の実験機正式名称を知っている人間なんて一握り・・・・」
 「なら一握りがいるんだろうよ!早く出せ!」
助手席の男がダッシュボードを叩くと運転席の男は何も言わずアクセルを踏んだ
 「後ろの連中にも教えろ。予定を繰り上げて回収に向うぞ」

 ―――サイドビーチ487 テロリストのアジト

 「ニューコムの関係者なら既に中へ入られました。案内します」
警備に残った地元警官は見せたバッヂを偽者なんて疑いもせずに通してくれた上に内部の案内までしてくれる
玄関には弾痕は見当たらない、だは一歩踏み入れば中は地獄絵図の様だった
死体は既に片付けられ証拠物件も回収され室内は嫌に質素で淡白だったにも関わらず血痕が惨状を訴える
 「リュックさん?リュックさん?!」
警官が廊下を覗くが相手の姿は見えなかったようだ、別の通路へと進んでいく
 「リュックさん?!リュック少尉?!」
徐々に警官の声は小さくなっていく、勿論彼女が別の通路を進んでいるからでもあるが
そして気づいた小さな階段、別に今の御時世に地下室への階段が有っても不思議では無い
だが、この階段は根本的に常例とは違っていた
 「足跡が一つ・・・いや、少なすぎる」
警察の調査が入れば何十人単位で捜査員が出入りするのが常識だが、階段に残った埃の量が明らかに多い
思わず拳銃を引き抜いた、階段の中へ銃口を向け確認
物音もしない
静かに一歩を踏み下ろした、先に進んだ男の足跡に合わせて

 「・・・・・」

その男は居た、右手の拳銃を元の位置へ戻しながらライトが机の上を照らしていく

作戦内容を記してあるようなプリントを一枚ずつ吟味し必要な物と不必要な物に分別

手にしたトランクを開くと手当たり次第に丁寧に詰めていく

最後に引き出しを物色、何かに気づきケース共々に物を取り出す

MRディスクのケース,DVDからの脱却を促した大容量かつ長期保存が可能な記憶ディスク

それらが軽く見積もって10枚、全てトランクに入れると閉じようとする

ここで動かねばどうする?トランクに電子ロックでも付いていた日には単独での回収は不可能

 「動くな!両手を頭の上に置いて跪け!」

思うより早く体と口は活動を開始した

狙いを後頭部へ定め物影から隠れるように<拘束における使用用語その1>を適用する

だが男は慌てる事もなくライトを消した、唯一の光源が失われ彼女の視界は目標を捉えられない

闇雲に威嚇一発、室内を閃光が走り一瞬だけ目標の位置を捉える事が出来た

銃口を修正し目標の存在していた場所へ更に一発

引き金を絞るが弾丸が出るよりも早く小さな穴が彼女の額へと押し付けられる

正面から突きつけられたソレは冷たい金属

 「動くな・・・」

動く訳が無い、ちょうど同時に彼女の拳銃も相手の何処かへと到達する

 「!!」

 「貴方もね・・・」

見えてはいないが多少焦った顔でもしているだろう、と銃声に驚いたのか警官が飛び込んでくる

「何かありましたか?!」

足音など気にもしない様子で階段を駆け下りライトを二人へと向けると二人は互いに目を細め現状を確認した

彼の拳銃を彼女の額の中心を捉え、彼女の拳銃は彼の拳銃を持たない方の肩に向けられている

そして互いに顔を見合わせる、どこかで見たような顔が彼女を眺めて、考え事をする深い視線が彼へ

 「・・・・・君に「動くな」を言われたのは二回目だな」

二回目?と言う事は彼には私と会った覚えが有り、しかも銃口を向けられる奇抜な状況・・・・



 『動かないで!・・・今すぐソレを戻しなさい!』



 「!!」

 「お知り合いで?」

リュックは警官の問いにあぁと頷き拳銃を収める

 「以前に一度だけ」

 「そうね、お陰で私は留置所に放り込まれる所だったわ」

首を傾げる警官

 「そうですか・・・」

それで警官には十分だったようだ、別段今更ニューコムとUPEOから出向いてきた人間が銃を持っていて慌てる事でも無い

警官が二人を確認してから出入り口の照明スイッチを見つけた、雑な作りをした照明が灯され各々が顔を見合わせる

 「と、言う事は君が子燕か・・・」

トランクを開き回収したものでは無い全く別のMRディスクを取り出し差し出す

 「ほら、指示された例の物」

受け取るとポケットへと滑りこませ、変わりに色違いのMRディスクを取り出す

 「取引成立ね」

受け取りトランクへ乱暴に放り込む、パタムとトランクを閉じ端子をワンタッチ

電子音と共にロックがかかった合図、何事も無かったかのように去ろうとする姿

 「ちょっと待って」

部屋を出て行こうとするリュックを彼女が止めた、同時に・・・・

 「行け!行け!」
ロケットランチャーで吹き飛ばされた玄関の残りをストックで粉砕し男達は室内へと流れ込む
残りは留守番、編成された8人の回収部隊は強引に突破口を開いた
目指すは隠し扉の有る部屋、一度集合すると息を合わせて扉を蹴破る
見事に開かれた隠し扉、そして中には未回収の見られたらマズい資料が大量に
 「突入するぞ!」
出入り口確保と通路確保に残った4名以外の総員4名が壁に張り付き一旦停止、先頭が銃口と共に頭を入れる
明かりが付いているが敵らしき人物を見当たらない
 「居ない・・・・」
一人をバックアップに残し三人で階段を駆け下りる、そして後数段で目標地点到達の瞬間にソレは現れた
着地の瞬間に戦闘隊員の横顔面に強烈な右ストレートを叩きこみ壁で弾んだ半死体をキャッチし首に腕を回しホールド
捕まった男の持つ消音付きサブマシンガンを奪いとり二番目の男の膝を撃ち抜く、三番目の男には武器を持つ肩を正確に撃ち抜く
速度の付いていた二人の体は階段を転がり落ち最下段に続けて墜落、呻き声を発しながら身悶える
最後に盾にした男を壁に投げ捨て階段を二段飛ばしで駆け上ると活動が止まっていたバックアップの男に強烈なアッパー
脳を強烈な振動が襲い気を失う様に崩れ落ちる男、それを外から見えないところまで引きずり込んで投げ捨てる
 「・・・あなた、ただの御使いじゃ無いようね」
 「・・・まぁね」
4人の体を物色、ありがたい事にグレネード1つを確保
おもむろにピンを抜き安全バーを弾くと出入り口へと投げつける
着地音とフロアを転がる音、それはボーリングの音に似てたり似て無かったり
 「退避!」
命令をソコソコに短く強烈な爆音が室内を包む、噴煙が流れ視界は遮られる
 「よし・・・・いくぞ」
 「何がよしなのか分からないけど・・・同意するわ」
割れた窓ガラス共々、窓本体を破壊し外へと飛び出る
遅れて続く警官一名、さすがに認めるべきかどうかを頭の中で思案中らしく難しい顔をして「いいのだろうか?」を連発
そんな一人を知ってか知らずか、二人は玄関方面を覗き込む
オフロード用の大型車が二台、運転首は健在で助手席にも一人
玄関から出てきたと思われる3名に引きずられる1名、手榴弾による被害だと思われる
 「それでユリカは車で来たのか?」
 「そう、向いの黒いのがUPEOの公用車・・・・って、なんで名前知っているの?」
 「君の証明書は見させてもらったからな、それで君は?」
考え中の警官に無理やり覗きこませ己の車両を確認させる
 「ここの反対側に、裏を通っていけば大丈夫かと・・・」
そして考え込むリュック、木魚の音はしないが考え中
で、ひらめいた名案
 「逃げるぞ」

CAN電池さん
01.20.AM 更新